白い風車
ラ・マンチャ地方は、マドリッドの南に広がる広大なメセタ平原にあります。メセタはイベリア半島のほぼ中央部に位置し半島の約半分の面積を占める高度500m〜800mの広大な平原からなり最もスペインらしい風景です。ラ・マンチャの名はアラビア語で「乾いた大地」という意味だそうです。年間降水量は500mm以下ということで緑が少なく赤茶けた大地が多い土地です。周りにはぶどうやオリーブ、小麦畑などの乾燥に強い作物が耕作されています。
カンポ・デ・クリプターナ
村に近づくと道幅が狭まり緩やかな坂道を丘に向かって行くと、途中から丘の上に立つ巨大な白い風車が見えてきます。訪れた日は風が寒く降水量の少ない土地なのに空もどんよりと厚い雲に覆われてきて心配しましたが幸い我々の滞在中には雨も降られず見学できました。
後ろの風車は使われなくなって打ち捨てられていたものを土地の出身者で南米で成功した人たちが資金を出して復元し観光地となったそうです。
白い風車の内部
らせん状の階段を上に大きな歯車があり、頑丈そうな木製の歯車が組み合わされて回転数を上げる構造になっています。現在では小麦の粉ひきに多く使われている様です。その元になっているのがオランダの風車の技術を取り入れて粉挽き用に改良したそうです。
丘の頂上からの眺めは、どこまでも地平線の平原が続いていて爽快です。広大な大地と大きな青い空、澄み切った風景を眺めていると、まさにスペインに来ていることを実感します。
ラ・マンチャといえば、あのサンチョ・パンサを従えて勇者?ドンキホーテが丘の上に立つ巨大な風車に突撃するセルバンテスの物語です。風車の前に立つレストランの屋上にはドンキホーテのシルエットが。彼はこの地方に住むアロン・キハーノという名の郷士で騎士道物語に夢中になって遂に狂人となってしまい、「ドン・キホーテ」と名乗って旅に出る。その旅先での冒険談をセルバンテスが描く。突撃したドンキホーテと馬のロシナンテが風車の羽に巻き上げられて遠くに飛ばされるというイメージが思い浮かんできます。
参考資料より
小高い丘に立つ白い風車の村は、ひと気がなく、ひっそりしていて時より猫が見慣れない旅人に警戒しながら現れる程度です。スペインの都会の雑踏から離れてみると時間が止まった様な気がします。